幼児に役割分担させる指導法

2歳児実験のときのことです。

 担任が机の上に積み木を1,2枚置き、次に幼児がその枚数回だけタンバリンを叩く、という遊びの実験をしました。机の上の積み木の個数を、タンバリンを叩く回数で表現できるかどうかという実験です。幼児が上手く集中できないケースが続いて、どうしたものかと思案していました。
すると担任の先生が次に入ってきた幼児に向かって、「これから積み木とタンバリンを使った遊びをしようね。積み木をこのように(2個)置いたらその後でタンバリンをこう(2回)叩きます。わかった?積み木をこう置いて、タンバリンをこう叩きます。」といって見本を見せました。そしてその後で「この遊びを先生と○○ちゃんの二人でしようね。先生が積み木を置くから、○○ちゃんはタンバリンを叩いてね」と伝えてから実験を始めました。
するとこれまでの園児とは違って、集中してタンバリンを叩くようになりました。
A:積み木を置く、B:タンバリンを叩く、とすると最初の手法は、”問題Aです。Bの様に答えて下さい”であり、担任が考えた方法は、”A+Bという作業がある。前半のAを担任がするから後半のBを幼児が手伝って欲しい”という感じのものです。一つの作業を分担して、先生と幼児の二人で一緒にやろう、と云う表現を用いることによって、幼児にも使命感や責任感を持たせて、積極的に参加させる素晴らしい方法でした。
遊んだ後のおもちゃを幼児に仕舞わせるのに、「このおもちゃ、どこへ仕舞うんだったかしら、お母さん忘れちゃった。教えて」というと子どもが自分からちゃんと仕舞うとか、電車のホームで「お父さん、手を離していると線路に落ちそうだから、○○ちゃんお父さんの手を繋いでいてちょうだい」と伝えると幼児がしっかりお父さんと手を繋いでいてくれる、などという話がありますが、それと同じように幼児をその気にさせる素晴らしい方法でした。さすが、幼児の扱いに慣れた先生です。感服しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です